『歯科医の事故』

 

 

1982年東京都八王子市の歯科診療所でフッ素塗布液のNaF(フッ化ナトリウム)とHF(フッ化水素酸)を間違えて塗布し診察台から2mもハネ飛んだ。

司法解剖結果は中毒死だった。死亡したのは、女の子3歳。

母親に連れられ、兄と一緒に虫歯の治療を受けに同医院を訪れた。少女が母親にだっこされた状態で治療用のイスに座るとすぐ、院長は少女の歯にフッ化ナトリウムを塗り始めた。少女は「からい」と拒否反応を示すと、院長は母親に腕を抑えるように指示、嫌がる少女に液を塗り続けた所、少女は床に転がり込み、苦しみ始めたという。

少女は唇が白くなり、血の混じった泡をふき始め、さらに、腹痛を訴え始めたため院長は慌てて救急車を呼んだ。少女が診療所に通院するのは四度目。フッ化ナトリウムを塗ったのは初めてだった。これまでフッ化ナトリウムによる事故例がないこと、専門家の話ではフッ化ナトリウム液は無味で少女が「からい」と言っており、口の中がただれていることなどから警察は院長が液を間違えた可能性もあるとみて事情を聞くとともに、少女が特異体質ではないかと調べた。

調査の結果、フッ化ナトリウムのつもりが「フッ化水素酸」を誤発注したことによって、起こった事故だった。

僕たちは医療関係というものを完全に信用しており、歯医者さんというと子供の頃に通院することも多く、命に関わる重大なところというイメージは少ないです。

しかし、歯の神経というのは体の中で2番目に痛みを感じやすい箇所です。

現代の医学は発達していて、こういった事故は少なくなっているとはいえ、気をつけたいと思います。